2023-11-03 Fri
今回はカーステンボッシュ植物園にやってくる鳥たちを紹介します。ピンクッションやエリカ属の花、ジャイアントハニーフラワー、極楽鳥花で蜜を吸う小鳥たちが見られます。


まずは、ジャイアントハニーフラワーに蜜を吸いにやってきた鳥たち。
1枚目はケープメジロ(Cape White-eye)とミナミダブルカラードサンバード(Southern Double-collared Sunbird)、2枚目はケープカナリア(Cape Canary)です。
今回写真が撮れませんでしたが、胸がオレンジ色をしたオレンジブレステッドサンバード(Orange-breasted Sunbird)もいました。
ケープメジロは私の家の隣の木でもよく見かけます。

こちらは木の枝に止まってさえずるミナミダブルカラードサンバード。
首から上の玉虫色の羽根が日光に照らされてキラキラと反射するのと、胸元の赤と青の帯が特徴です。(肩には黄色の羽根も持っています)
綺麗な色をしていますよね。

こちらは尾羽が長いケープシュガーバード(Cape Sugarbird)。
サンバードと姿が似ていますが、少し体が大きいのと、長い尾羽が特徴です。
飛んでいるとき、帯か紐がひらひら飛んでいるように見えます。


こちらはケープロビンチャット(Cape Robin-Chat)というヒタキの仲間と、カループリニア(Karoo Prinia)というセッカという仲間の鳥。
どちらもすばしっこくて撮るのに苦労しました。

こちらはウエストコースト国立公園でも見かけたケープブルブル(Cape Bulbul)。
ペアで仲睦まじく毛づくろいをしていました。

また、マダラワシミミズク(Spotted Eagle-Owl)が木の根元で抱卵していました。
植物園が柵を設けて人が近づかないようにしていました。


こちらはケープスパーフォウル(Cape Spurfowl)とエジプトガン(Egyptian Goose)。
花の蜜を吸いにやってきたわけではありませんが、いつも植物園にいる鳥たちです。
植物園に行った際には、花だけでなく、鳥たちも見つけてみてください。


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2023-10-20 Fri
ウエストコースト国立公園に続いて、今年はカーステンボッシュ植物園にも花の写真を撮りに行ってきました。植物園にはたくさんの種類の植物が植えられているので、ウエストコースト国立公園とは違った花も見ることができました。




これらの花は、ケープを代表するフィンボスという植物の中の代表的なグループであるプロテア属の花です。
最初の花は、キングプロテアで、南アフリカの国花でもあります。
他の3つの写真は、ピンクッションと呼ばれている花です。
色は黄色からオレンジ色、赤色の花があり、蜜が豊富なのか、小鳥たちが蜜を吸いに頻繁にやってきます。
花の形が裁縫の時に使う針刺し(針山)に似ているので、そのような名前がついていますが、これは一つの花ではなく、ピンのようなもの(花柱と呼ばれる部分)が一つの花を構成していて、それがたくさん集まって針刺しのような形を作っています。
これらの花は、大きく見栄えのする花なので、日本でも生け花やフラワーアレンジメントによく使われていますよね。



次は小さな花がたくさん咲くエリカ(ヒース)の仲間。
花の時期でなかったのか、数が少なかったですが、可憐な花を見せてくれました。
エリカもたくさん種類があって区別が難しいので、正確な名前(学名)は自信がありません。

この蛍光ピンクのような色の花は、ランプランサス(マツバギク)という仲間の花です。
とてもきれいな花ですが、花びらの色が鮮やかすぎて、写真が上手に取れません。

これはジャイアントハニーフラワー(Giant Honey Flower)という名前の花です。
名前にハニーとついている通り、花に蜜がたくさんあるようで、小鳥たちが盛んに飛んできて花をつついているのを見ることができます。
葉がトゲトゲしい形をしているのと、花が赤黒いあずき色をしているので、近寄りにくい雰囲気がありますが、実は葉や根には毒があるそうです。
この花にはタッチミーノット(Touch-me-not)という別名もあるそうです。
鳥や虫たちには蜜を与えて受粉を促し、草食動物には毒を持って防御するって、生命力の高い植物なんでしょうね。

小さな花がたくさん咲く「永遠に続く白」(White Everlasting)という名前の花です。
開いた花もかわいいですが、蕾の先端が淡いピンク色をしていて綺麗です。

この極楽鳥花も生け花などでよく使われるので、日本ではよく知られた花ですよね。
この花の原産はケープ周辺ではなく、南アフリカのインド洋に面した海岸になります。
花の季節の真ん中なので、切り花に使えそうな綺麗な状態の花がたくさんありました。

このオレンジ色と黄色の花はクリビア又はナタールユリと呼ばれている彼岸花の仲間です。
この花も極楽鳥花と同じ南アフリカのインド洋沿岸が原産で、日陰を好む種類です。
この植物園でも大きな木の下に植えられています。

この花は形がピンクッションによく似ていますが、オーストラリア固有の植物で、ワラタ(Waratah)という名前があります。(オーストラリアのラグビーチームにWaratahsという名前のチームもあります)
生育している場所が違いますが、南アフリカのプロテアやピンクッションと同じヤマモガシ科(Proteaceae)の仲間だそうでが、南アフリカのピンクッションと違い、高さ4mくらいの大きな木になります。
この季節(8~9月)は植物園でもたくさんの種類の花が咲くので、ケープトニアンもカメラを持ってたくさん訪れていました。
花の季節は、少なくとも半日程度時間を取って園内を見て回ってください。


2023-10-06 Fri
前回、ウエストコースト国立公園の花を紹介しましたが、今回は公園内で見かけた動物たちを紹介します。花と違って動物たちは、カメラを向けている間、動いてしまうのと距離があるので、思った写真を撮るためにたくさんシャッターを押してしまいます。
特に鳥たちはじっとしてくれないので、シャッターを切る前に飛んで行ってしまったり、ピントが合わなかったりして難しいです。


花畑のシマウマ(Cape Mountain Zebra)たち。
シマウマはいつも見かける動物ですが、あまりあちこち移動しないようで、毎回同じようなエリア(花畑の中)で見つけることができます。
2つの写真は別の群れで、毎年数が増えているような気がします。
2枚目の写真には何頭のシマウマがいるでしょうか? ダチョウ(Common Ostrich)のペアもいますね。
スプリングボック(Springbok)がシマウマの群れと一緒にいることもありますが、今回は見つけられませんでした。

こちらはBontebok。
ペアで見かけることが多いですが、今回は1頭しか見つかりませんでした。
鼻筋とおしりが白いのが遠くから見てもわかる特徴です。(お腹と足も白いです)


このダチョウはPostbergに向かう途中の道路にいました。
羽根が灰色っぽいのはメスで、オスは黒色をしています。
近くにオスと子供がいました。

こちらはシャコの仲間のCape Spurfowl。
ホロホロ鳥と同じく、ケープタウンの街の近くでもよく見かける鳥で、私がいつもランニングしているビーチにもいます。




その他、Bokmakierie(モズの仲間)やWhite-backed Mousebird(ネズミドリの仲間)、Cape Bulbul(ヒヨドリの仲間)、Cape Bunting(ホオジロの仲間)も写真を撮ることができました。

今回初めてSpotted Thick-knee(シギの仲間)という鳥を見つけました。
この写真の中にいるのですが、どこにいるか見つかりますか?
カラフルな花畑もいいですが、野生の動物たちを見つけるのも楽しいです。


2023-09-22 Fri
今月、2年ぶりに花畑を見にウェストコースト国立公園へ行ってきました。本当は8月中に行きたかったのですが、行ける日の天気が良くなかったりして、結局いつもより遅く行くことになりました。
時期が遅くなったので、いつも鮮やかな色を見せてくれるオレンジ色(Namaqua Marigold)、黄色(Cape Weed)、白色(Rain Daisy)のガザニア系の花が少なくなっていました。
今回多かった花は、紫色(マゼンタ色)のHongerblom(Senecio arenarius)またはWild Cineraria(Senecio elegans)、黄色のCoast Senecio(Senecio littoreus)とGeelganskos(Cotula pruinosa)、薄い黄色のGeelsuring(Oxalis pes-caprae)でした。


まだガザニアの花は咲いていましたが、いつもと比べると葉っぱの緑色の部分が目立ちます。


ここはオレンジ色が綺麗なNamaqua Marigoldと白色のRain Daisyが残っていました。
濃い黄色はCoast Senecioで、手前の薄黄色はGeelsuringです。


このあたりの紫色(マゼンタ色)はHongerblomまたはWild Cinerariaで、薄い黄色はGeelsuring、濃い黄色はGeelganskosの花が咲いていました。

大きな花畑を遠くから眺めると、紫色(マゼンタ色)の花が咲いているエリアと黄色の花の咲いているエリアに大まかに分かれていますね。
花畑は、手前にあるようなブッシュ(低木)のない開けた場所に広がっています。
この花畑の横幅はおおよそ500mくらい、奥行きは直線でおおよそ2kmくらいあります。

この写真の中のオレンジっぽい黄色の花はSeegousblom(Didelta carnosa var. tomentosa)です。
この花は海岸に近い砂地に群生しています。
花は日が昇って暖かくなると開いてくるのを皆さん知っているようで、午前中はPostbergエリアにあまり車がいませんでしたが、昼くらいから訪れる車が増えました。
花を見に行かれるときは、お昼前後に見て回れるように行くといいです。


2023-07-28 Fri
◆ケープが登場する作品オランダ東インド会社が1600年代半ばに食糧補給基地としてケープに入植してからしばらくの間、ヨーロッパの人たちにとってケープは帆船で何か月もかかる遠い遠い未知の存在でしたが、イギリスが植民地化した1800年代に入ると、ヨーロッパで書かれた小説などにケープに関わるものが登場するようになったので、その頃にはケープの存在はヨーロッパに広く知れ渡っていたのかなと思われます。
今回は、ケープに関わるものが登場する1800年代のヨーロッパの小説などを紹介していきます。
◆エドウィン・ドルードの謎(チャールズ・ディケンズ著)
1812年イギリス生まれの小説家 チャールズ・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens)の推理小説で、この作品の執筆中に彼が亡くなって(1870年)しまい、また彼がどのようにこのストーリを終わらせようとしたのかも残っていなかったために、未完成のままになった小説です。
この小説は、クロイスターハムという大聖堂のある町に住む、エドウィン・ドルードがクリスマスの朝に姿を消し、エドウィンを取り巻く人たちの誰かに殺害されたのではないかと推理していくストーリです。
ある日ネヴィルが酔っ払って居候先に帰宅した事件について、居候先のクリスパークル氏と事件で恥ずかしい思いをした彼の母親が口論している最中、クリスパークル氏が落ち込んだ様子を見た母が元気づけのためにコンスタンシア・ワインを台所の戸棚から出してきました。
小説が未完成であるため、著者の死後、多くの人が続きを推理して、小説や映画、演劇などが創作されました。



※エドウィン・ドルードの謎(白水Uブックス)より
◆さかしま(ジョリス=カルル・ユイスマンス著)
1848年フランス生まれの小説家 ジョリス=カルル・ユイスマンス(Joris-Karl Huysmans)の1884年の作品です。
主人公のフロレッサス・デ・ゼッサント(Floressas des Esseintes)は、貴族出身の神経質な独身男で、17歳に両親を失います。
両親の財産を受け取り、様々な階級の人々と交際し遊びつくした挙句、そうした生活に飽きて俗世間から逃れて郊外の一軒家に引きこもり、人工的な楽園を作って生活し始めたのでした。
雨の降る寒い日から一足飛びにギラギラした焼けつくような日に変わり、暑さに弱い彼が吐き気を催し食欲を失って苦しむ中、少しでも口に入れようと1枚のビスケットを浸しながらコンスタンシア・ワインを飲みます。


※さかしま(河出文庫)より
◆悪の華(シャルル=ピエール・ボードレール著)
1821年フランス生まれの詩人 シャルル=ピエール・ボードレール(Charles-Pierre Baudelaire)の代表作の一つです。
彼は6歳の時に実父を失い、年少期は養父の勧めで法律の勉強をしましたが、彼自身は文学に興味を持っていました。
彼は法律を学んだ学生時代、売春宿に通うなど放蕩な生き方をしたため、養父が心配し改めさせるために、強制的に彼をインドへの旅をさせました。
しかし、彼は嫌気がさして、途中のモーリシャスからパリに引き返してしまいました。(その旅の途中、ケープにも立ち寄りました)
パリに戻った後、亡き実父の遺産を引き継ぎましたが、放蕩な生活を続けて住居を転々とし、財産のほとんどを使い果たして、生涯困窮した生活を過ごしました。
「悪の華」のほとんどは、パリに戻った後に過ごしたサン・ルイ島(セーヌ川の中州)で書きました。
「サレドナオ足リズ」(sed non satiata)という作品の中にコンスタンシア・ワインが登場します。


※ボードレール全集 I(人文書院)より
◆分別と多感(ジェイン・オースティン著)
1775年イギリス生まれの女性小説家 ジェイン・オースティン(Jane Austen)の1811年の作品で、知性があり自制心の強い「分別」のある姉 エリナと、情熱的で「多感」な妹 マリアンの姉妹を中心とした恋愛を描いた小説です。
ジェニングズ夫人に招待されロンドンに滞在していたエリナとマリアンが、マリアンと結婚するものと信じていたウィロビーが他の女性と一緒にいるところを発見し、マリアンは失意のどん底に落ちますが、それを見かねたジェニングズ夫人が彼女を元気づけようと、コンスタンシア・ワインを与えようとします。


※いつか晴れた日に 分別と多感(キネマ旬報社)より
◆ラドヤード・キップリング
当時イギリス領だったインドで1865年に生まれたイギリス人小説家 ラドヤード・キップリング(Joseph Rudyard Kipling)は、ジャングルブックという童話で知られていますが、1900年前後に南アフリカに定期的に滞在したこともあり、南アフリカを舞台(題材)にした詩や小説を書いています。
「どうしてゾウの鼻は、長いの?」(The Elephant's Child)という童話があり、子供の頃読んだ記憶がありますが、南アフリカを舞台にした作品だとは知りませんでした。
●どうしてゾウの鼻は、長いの? / どうしてヒョウの体には、テンテンもようがついてるの?



※キプリング童話集(アノニマ・スタジオ)より
●ミセス・バサースト
この物語はケープのサイモンズ湾で、主人公が次の汽車を待つ間に偶然会った友人たちとの、失踪した軍人についての噂話を描いたストーリだそうです。
しかし私には難しくて、ただのとりとめのないおしゃべりにしか思えませんでした。



※キプリング短編集(岩波書店)より
●あの花(The Flowers:詩集The Seven Seasより)
イギリス人が身近なイギリスの花に親しみを持つように、イギリス帝国内の他の国にいるイギリス人もその地の花を愛していることを伝えようと、第1節はイギリス、第2節はカナダ、第3節は南アフリカ、第4節はオーストラリア、第5節はニュージーランドをテーマにして書かれています。

※https://en.wikisource.org/wiki/The_Seven_Seas/The_Flowers より
普段ビジネス系・自己啓発系・科学技術系の本はよく読みますが、慣れない小説を読むのは私にとって結構大変でした。
もし興味がありましたら読んでみてください。

